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獣医師を呼ぶ
夫が到着した。「今向きを変えたんだよね」という話をする。「向き変えたくらいで弱ってちゃだめだわ」「そうなんだよね」。
また、前回の辛い時のように呼吸が荒くなった。体は汗をかいている。
悪い時の波、が来ている。次の「いい時」は来るのか? 寒い中、それを待つ必要はあるのか?
「楽にさせてあげたほうがいいんじゃないの」。「私もそう思う」。

元気になったとして、また寝たら起き上がれないだろう。
変なタイミングで倒れて、の繰り返しだ。
というよりは、もうこのまま息絶えるような気がする。それならば今楽にしてあげるのが最善だ。

「獣医さんを呼んでください」。
午後9時、Tさんに告げた。結局勤務外ともいえる変な時間に呼んでしまった。競走馬に比べ、緊急というわけでもないのに申し訳ない。
10分もしなかっただろうか。すぐに荻伏からH獣医が来た。
決断から、そう時間はない。時間があっても困る。

獣医さんの車にちょっとびびるカバリエ。
痛くなくしてくれるんだからいいでしょ!これでまた元気になれるよ~などと話しかけるが、言葉のわからないカバリエだから、もう観念しているのだろうか。そうは思いたくなく、ずっと話しかける。怖くないように。そばにいるから大丈夫だよ、もう辛くないよ。痛くないよ。

ライトの明かりだけを頼りにして、カバリエの首筋をすっと触ってから、また車に戻り、注射器を持ってきた。
無言ですぐに注射をした。……って早ぇなぁオイ!!!(汗)
と思ったら、まず最初に鎮静剤を打ったらしい。
それから少し経って、どぎつい色の薬が入った注射器を持ってきた。
「暴れることもあるから気をつけてください、…驚くかと思いますが」
「はい、聞いたことがあるから大丈夫です。」

安楽死の際に暴れることがある、というのはよく聞く話だ。というか、書いてくれた人がいたからだ。
「馬の瞳を見つめて」という名著がある。渡辺牧場の渡辺はるみさんの本。
この2日前に、渡辺牧場でも1頭の余生馬が亡くなっていたと知る。他の余生牧場でも聞いたし、この時期の気候の変化というのは高齢馬には堪えるのかもしれない。
私も伝えなくてはいけない。

by b_cavalier | 2021-06-21 21:22 | ボヘミアンカバリエ
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